英語のCDを毎日流している。英語の動画を見せている。それなのに、なぜか英語が身についていない気がする——そんな経験をお持ちの保護者の方は少なくないと思います。
「もっと量を増やせば伸びるのだろうか」と考えがちですが、実は問題は量よりも「質」にあります。今回は、第二言語習得研究の知見をもとに、子どもの英語学習において「どんなインプットが機能するのか」を整理してみます。
音を「聞いている」と、音を「処理している」は違う
部屋に英語の音声が流れていれば、子どもはその音を耳にしています。しかし、耳に届いていることと、脳がその音を言語として処理していることは、まったく別のことです。
ワシントン大学のパトリシア・クール(Patricia Kuhl)博士らの研究では、生後9か月の乳児を対象に、日本語を母語とする子どもに北京語の音声を聞かせる実験が行われました。録音された音声やテレビ映像を通じて北京語に触れさせた場合、子どもたちはその音を言語として習得しませんでした。ところが、実際に人と対話する形で同じ音声インプットを与えると、子どもたちは北京語の音韻を習得したのです。
クール博士はこれを「ソーシャルゲーティング(Social Gating)」と呼んでいます。人との関わりが、言語学習の「門」を開く鍵になる、という意味です。
なぜ”人”が必要なのか
ソーシャルゲーティングが起こるメカニズムには、いくつかの要因が考えられています。
一つは、注意の方向づけです。生身の人間と向き合うとき、子どもは相手の表情、視線、声のトーンを総合的に読み取ろうとします。その過程で、脳は音声情報をより深く処理しようとします。CDやテレビの音声には、こうした社会的シグナルが伴いません。
もう一つは、フィードバックの存在です。人との対話では、子どもが何かを発したときに相手が反応します。この「返し」があることで、子どもは自分の発話と相手の反応のズレを感知し、言語を調整していきます。一方通行のインプットでは、このループが生まれません。
さらに、感情的なつながりも重要な役割を果たします。楽しい、嬉しい、もう一度やりたいといった感情の動きが、記憶の定着を助けることが知られています。人との関わりには、このような感情的文脈が自然に伴います。
「インプットの質」を考える三つの観点
では、質の高いインプットとはどういうものでしょうか。以下の三点が参考になります。
① 子どもの関心に合っていること
言語習得研究では、学習者が「理解できる範囲をわずかに超えたレベル」のインプットが最も効果的だとされています(クラッシェンの「i+1」の概念)。難しすぎず、簡単すぎず、かつ子どもが興味を持てる内容であることが重要です。
② 双方向のやりとりがあること
前述のソーシャルゲーティングの観点から、インプットは一方向に流れるだけでなく、子どもが何かを返し、相手がそれに応じる構造があることが望ましいです。質問に答える、真似をする、反応する——これだけでもインプットは「処理される情報」に変わります。
③ 繰り返しが自然に起こること
一度聞いただけでは定着しません。ただし、同じ音声を繰り返し流すよりも、同じ表現が様々な文脈で登場する方が、習得は進みやすいとされています。
英語動画・音源は「補助」として使う
これらを踏まえると、英語の動画やCDはあくまで「補助的なツール」として位置づけるのが適切です。完全に否定するものではありませんが、それだけで英語力が育つとは考えにくい。
効果を高めるには、動画を一緒に見ながら内容について話しかける、登場するフレーズを真似て使ってみる、といった「人の介在」を加えることが大切です。保護者の方が英語を得意でなくても、子どもと一緒に画面を見て「これ何て言ってたの?」と聞くだけで、インプットは双方向の経験に近づきます。
ビバイが大切にしていること
ビバイのレッスンでは、英語の音声や教材を使いながらも、講師とお子さんの「生きたやりとり」を中心に据えています。子どもが何かを言えば、講師はその言葉を受け取り、広げ、次の一手を引き出します。
この積み重ねが、英語を「流れてくる音」ではなく「自分が使える言葉」に変えていきます。
「うちの子、英語を聞いてはいるけど話さない」という状況でお悩みの方は、ぜひ一度、マンツーマンでのやりとりを体験してみてください。
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ビバイについて、もう少し知りたい方へ
この記事でお伝えしたような考え方を大切にしながら、ビバイでは子どもの英会話を専門とする家庭教師サービスを提供しています。
「どんな講師が教えているの?」「どんなレッスンをするの?」という方は、まずサービス紹介ページをご覧いただければと思います。無料体験レッスンも随時受け付けています。
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