「フィンランドの子どもは、みんな英語が上手だと聞きました」
保護者の方からこの話題が出ることがあります。子供英会話家庭教師ビバイ(bebai)のWです。私自身、複数の言語環境で育った経験から、英語教育のあり方に関心を持ち続けてきました。今回は、北欧、特にフィンランドの英語教育と日本の違いを整理しながら、家庭でできることを考えます。
フィンランドの英語力は本当に高いのか
EF(Education First)が毎年発表する英語能力指数(EF EPI)では、フィンランドは非英語圏の国の中で常に上位に位置しています。人口の大部分が母語として英語を話さない国でありながら、これほどの英語力が育つ背景には、教育の仕組みと社会環境の両方が関係しています。
日本との主な違い
1. 英語学習の開始時期と目的
フィンランドでは英語教育は小学3年生(9歳)から始まります。日本と大きく変わらない時期ですが、決定的に異なるのは目的設定です。
フィンランドでは、英語は「コミュニケーションの道具」として一貫して扱われます。試験での正確さより、「伝えること」「理解し合うこと」が評価の中心に置かれています。日本では、特に中学以降、文法の正確さや読解力が英語学習の重心を占めることが多く、話す・聞くの比重が相対的に低くなる傾向があります。
2. テレビと字幕文化
フィンランドを含む北欧諸国では、外国語(主に英語)のテレビ番組やアニメが字幕付きでそのまま放送される文化があります。吹き替えにせず字幕を使う習慣が根付いており、子どもたちは幼い頃から英語の音声に日常的に触れます。
日本では多くのコンテンツが吹き替えで提供されるため、英語の音に触れる機会が自然には生まれにくい環境があります。
3. 間違いへの態度
フィンランドの教室では、英語を使おうとすること自体が評価されます。発音が多少違っても、文法が崩れていても、意思を伝えようとする行動を止めない雰囲気があります。
この「まず使う」という文化が、英語を声に出すことへの心理的ハードルを下げ、早い段階から話す経験を積ませることにつながっています。
日本でも取り入れられること
フィンランドの英語教育のすべてを家庭に持ち込む必要はありません。ただ、構造的な違いを知った上で、できることを取り入れる視点は持てます。
たとえば、お子さんが好きな英語アニメや動画を吹き替えではなく英語音声で流す習慣は、フィンランドの字幕文化に近い効果を家庭でも作れます。正確さより「言ってみること」を先に褒める関わり方も、すぐに変えられる点です。
英語学習の差は、国の制度の違いだけで説明できるわけではありません。英語に触れる時間の総量と、英語を使おうとすることへの心理的な安心感が、どの環境でも大きく影響します。
フィンランドだけではない——北欧全体の傾向
EF EPIの上位にはフィンランドだけでなく、オランダ、スウェーデン、ノルウェーなど北欧・西欧の国々が並んでいます。これらの国々に共通しているのは、英語を試験科目としてではなく、日常的なコミュニケーション手段として扱う文化の土台があることです。
また、これらの国々の言語(スウェーデン語、ノルウェー語など)は英語と同じゲルマン語系に属し、語彙や文法構造が英語と比較的近い点も、習得の速さに影響しています。
その意味では、言語間距離が英語から遠い日本語を母語とする子どもたちが北欧と同じペースで英語を身につけることを期待するのは、条件として公平ではありません。大切なのは比較ではなく、日本語話者として英語を習得するための、より適切な方法を選ぶことです。
バイリンガル講師の視点から
複数の言語環境で育った経験から言えるのは、言語は「教わって覚えるもの」より「使いながら身につくもの」という感覚がより実感に近いということです。フィンランドの子どもたちが英語を話せるのも、授業の質だけでなく、日常の中で英語を使う場面が多いことが大きな要因です。
日本国内にいても、その積み重ねを意識的に作ることはできます。ビバイでは、マンツーマンのレッスンを通じて、お子さんが英語を「使う」経験を毎回確実に積めるようにしています。北欧の教室のように、まず声に出すことを大切にしながら、一人ひとりのペースで伸ばしていきます。
英語教育の形は国によって様々ですが、「英語を楽しいと思える体験を積み重ねる」という点は、どの国でも共通して大切にされています。
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