「毎日英語のYouTubeを見せているのに、英語を話す気配がない」
そんなご相談をいただくことがあります。英語の動画コンテンツは豊富で、子ども向けに作られたものも質・量ともに充実しています。「毎日見せているんだから、少しは身についているはず」——そう感じながらも、なんとなく不安を感じている保護者の方は多いのではないでしょうか。
結論から言うと、動画を見せているだけでは、英語の「話す力」はなかなかつきません。ただし、活用の仕方を少し変えるだけで、同じ動画が全く異なる学習効果をもたらします。今回は、その3つの原則をお伝えします。
なぜ「見るだけ」では話せるようにならないのか
まず、動画視聴がなぜ習得に直結しにくいのかを整理しておきます。
言語習得の研究では、インプット(聴く・読む)だけでなく、アウトプット(話す・書く)の機会が習得に不可欠であることが広く示されています。動画はどんなに質が高くても、こちらが何を言っても、画面の向こうの人は反応してくれません。「伝わらないから言い直す」「聞き返されたから別の言い方をする」——そうしたやりとりは、動画との一方的な視聴では起きません。
さらに、子どもは英語の音に慣れるにつれ、動画を「内容として楽しむもの」として処理するようになります。英語を”聴こうとしている”のではなく、”ストーリーや映像を楽しんでいる”状態です。これ自体は悪いことではありませんが、学習としての効果は薄れていきます。
つまり、動画はあくまで「英語に触れる入口」であり、それだけで習得が完結するツールではないのです。
原則① 一緒に声に出す時間をつくる
最も効果的な関わり方のひとつは、動画を「一緒に声に出す材料」として使うことです。
子どもが好きな英語の歌や、繰り返しのフレーズが出てくるアニメーションは特に活用しやすいです。最初は聴くだけで構いません。何度か見るうちに自然と口ずさみ始めたら、一緒に声に出してみてください。
「言えた」という体験は、次に「使ってみよう」という気持ちにつながります。動画のセリフを真似することは、英語の音とリズムを体に覚えさせる非常に効果的な方法です。保護者の方自身が英語を得意でなくても、一緒に声に出す姿勢を見せることに意味があります。
ポイントは「正確に言えているか」より「声に出した」ことを認めることです。音が多少違っていても、口を動かして英語を使おうとした、その行為が大切です。
原則② 「あれ何て言ってたの?」と聞く
動画を見終わったあと、または途中で、「今の何て言ってたの?」「あの言葉、どういう意味だと思う?」と軽く聞いてみてください。
これだけで、視聴が「受け身」から「能動的なもの」に変わります。
子どもは「あとで聞かれるかもしれない」という意識を持つだけで、動画の英語をより注意深く聞くようになります。また、「知っていること」を誰かに話す機会があることで、記憶への定着率が上がることは、記憶研究でも広く知られています(「想起練習効果」)。
答えられなくても構いません。「じゃあもう一回聞いてみようか」と一緒に確認する過程そのものが、学習として機能します。
原則③ レッスンで学んだ表現を動画の中に探す
英語のレッスンを受けているお子さんであれば、「レッスンで出てきた表現が動画に出てきたら教えて」というゲームを試してみてください。
たとえば、レッスンで “What’s this?” を練習したなら、動画を見ながら同じ表現が出てきたときに「あ、これ知ってる!」と気づく経験ができます。
この「知っている表現に出会う喜び」は、子どもの学習意欲に直接影響します。「英語って勉強するものじゃなくて、本当に使われているんだ」という実感が生まれるからです。
動画はレッスンの外側にある英語の世界との接点として使う——そのような位置づけにすることで、レッスンと家庭視聴が相乗効果を生み出します。
動画選びの視点——「子どもが好きかどうか」が最優先
どんな動画を選べばいいかについても、少し触れておきます。
結論としては、英語学習専用のコンテンツにこだわる必要はありません。子どもが夢中になれるかどうかが、最も重要な基準です。興味のない内容をただ流しておいても、英語は耳に入ってきません。
ただし、選ぶときのポイントがいくつかあります。
繰り返しのフレーズが多いものを選ぶと、自然と口ずさみやすくなります。子ども向けのアニメやミュージカルビデオは、この点で優れています。同じ表現が繰り返し出てくることで、聴くたびに英語のパターンが体に入っていきます。
年齢より少し簡単な英語レベルのものを選ぶと、内容が理解しやすく、英語を聞く余裕が生まれます。難しすぎる内容は、英語よりも映像の理解に集中してしまい、言語としての処理が薄くなります。
日本語版と英語版の両方がある作品は、日本語で内容を理解してから英語版を見るというアプローチも効果的です。内容がわかっていると、英語の音が意味と結びつきやすくなります。
ビバイのレッスンでは
ビバイのレッスンでは、毎月の指導報告書の中で、ご家庭でどのように英語に触れるとよいかのアドバイスをお伝えしています。お子さんが興味を持っているコンテンツや、現在レッスンで扱っている表現に合わせた動画・絵本の活用法もご提案しています。
「どんな動画を見せればいいかわからない」「見せているけどうまく活用できていない気がする」——そんなお悩みも、ぜひ体験レッスンでご相談ください。
英語の動画は、使い方次第で非常に強力なツールになります。ただ流しておくのではなく、少しの関わりを加えることで、子どもの英語との距離は大きく縮まります。
Rina
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