「日本語が先」はもう古い?言語学から見た、失敗しないバイリンガル教育

「英語より先に、日本語をしっかり固めてから」

お子さんの英語教育を検討するとき、こんなアドバイスを耳にしたことはないでしょうか。なんとなく正しそうに聞こえますが、実際はどうなのか、気になっている保護者の方も多いと思います。

子供英会話家庭教師ビバイ(bebai)のWです。私自身、日本語・中国語・英語という3言語環境の中で育ちました。その経験と、カナダの言語学者Jim Cumminsが提唱した「言語相互依存仮説」の知見を合わせて、この問いに向き合ってみたいと思います。

2言語は、じつは同じ土台を共有している

Cumminsは1979年、言語習得に関する重要な仮説を発表しました。それが「言語相互依存仮説(Linguistic Interdependence Hypothesis)」です。

この理論を理解するうえで役に立つのが、「氷山モデル」という例えです。日本語と英語はそれぞれ、水面から顔を出した氷山の「頂点」です。見た目は別々の塊に見えます。しかし水面の下、つまり目に見えない部分では、2つの氷山はひとつの共通した土台でつながっている——Cumminsはそう考えました。

この共通の土台を「共通基底能力(Common Underlying Proficiency:CUP)」と呼びます。概念を理解する力、論理的に考える力、文脈を読む力。こうした認知的・言語的な基盤は、特定の言語に属するものではなく、すべての言語に共通して働くものだというのです。

「日本語力が英語力を助ける」とはどういうことか

CUPの観点から見ると、「日本語をしっかり育てることが英語習得を助ける」という主張には、確かな根拠があります。

たとえば、日本語で「比べる」「理由を説明する」「物語の流れを追う」といった思考力が育っている子どもは、英語でも同じ操作を比較的スムーズに行えるようになります。なぜなら、その土台となる認知能力はすでに母語を通じて鍛えられているからです。

Cumminsの研究では、L1(母語)での能力が高いほど、L2(第二言語)の習得が促進されることが繰り返し確認されています。逆に言えば、L1が十分に発達していない段階でL2に過度に集中した場合、どちらの言語も中途半端な状態になるリスクがあるということです。これをCumminsは「閾値仮説(Threshold Hypothesis)」と呼び、一定レベル以上の言語力があって初めてバイリンガル教育の認知的メリットが現れると論じています。

ただし「英語は後回し」とは違う

ここで注意したいのは、Cumminsの理論は「英語を後回しにすべきだ」と言っているわけではない、という点です。

重要なのは「母語を犠牲にして英語を習得させようとしない」こと。英語を加えることで日本語が損なわれない環境を整えること。これを「付加的バイリンガリズム(Additive Bilingualism)」と言います。日本語での読み聞かせや会話を大切にしながら英語にも触れさせる、というバランスが理想的です。

私自身の経験でも、3言語のあいだで混乱したと感じた時期は、どれかひとつの言語が「土台」として機能していた時期ではなく、どれも中途半端に揺らいでいた時期でした。言語に優劣や順番をつけるより、どの言語も「使える場所」と「意味のある文脈」の中で育てることが大切だと、今では確信しています。

家庭でできることは、意外とシンプル

理論を知ると、逆に「何から手をつければいいの?」と迷ってしまうかもしれません。でも、家庭でのアプローチはシンプルです。

日本語で絵本を読む、日常の出来事を言葉で丁寧に説明する、「なぜ?」「どう思う?」という問いを日本語で投げかけ続ける。こうした積み重ねが、英語を学ぶときの土台を着実に育てていきます。そのうえで英会話のレッスンを加えれば、2言語は互いを補強し合いながら育っていきます。

バイリンガル講師が見てきたこと

英会話の家庭教師として子どもたちと接していると、日本語での表現力が豊かな子ほど、英語でも「伝えたいこと」を持っていると感じます。言葉の選び方、話の組み立て方、相手の反応を読む力——これらは言語を超えて機能しています。

「英語と日本語、どちらを優先すれば?」という問いへの答えは、「どちらかを選ぶ必要はない」ということだと私は思っています。2つの言語は競合するものではなく、同じ土台の上で互いに育ち合うものです。


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