言語間距離と習得時間|なぜ日本人にとって英語は難しいのか?データで見る学習効率
「うちの子、英語が苦手で……」
保護者の方からこうしたご相談を受けるたびに、私はいつも同じことを思います。
それは決して、お子さんの能力の問題ではないということです。
実は、日本人にとって英語は、構造的に「習得が難しい言語」なのです。
それは感覚や根性論ではなく、言語学の研究データからもはっきり示されています。
この記事では、「言語間距離」という考え方を軸に、
- なぜ日本人は英語習得に時間がかかるのか
- だからこそ、どんな学習法が合理的なのか
を、できるだけわかりやすく解説します。
言語間距離という考え方
世界には7,000以上の言語が存在すると言われていますが、
それぞれの言語には「近い・遠い」という関係があります。
これを言語間距離と呼びます。
たとえば、
- 英語 × フランス語
→ 文法構造が似ており、語彙の共通点も多い - 英語 × 日本語
→ 文字・語順・発音・考え方まで大きく異なる
このように、英語と日本語は、言語学的に見ると非常に距離が遠い言語同士です。
言語間距離が遠いほど、
学習者は「新しい言語を覚える」だけでなく、
思考の組み立て方そのものを切り替える必要があります。
そのため、どうしても習得には時間がかかるのです。
アメリカ外交官養成データが示す「習得時間の差」
この言語間距離を、客観的に裏付ける有名なデータがあります。
アメリカ国務省の外交官養成機関
FSI(Foreign Service Institute) が行った調査です。
FSIでは、英語を母語とする外交官候補生に対し、
- 週30時間の集中学習
- 同一条件
でさまざまな外国語を学ばせ、
上級レベルに到達するまでの期間を測定しました。
結果は、非常に示唆的でした。
- フランス語・スペイン語
→ 約20週(約600時間) - 日本語・中国語
→ 約44週(約1,320時間)
つまり、
日本語は、英語話者にとって習得に2倍以上の時間がかかる言語なのです。
そして、この関係は当然、逆も同じです。
日本人が英語を学ぶ場合も、
フランス語などに比べて、はるかに多くの時間と努力が必要になります。
なぜこれほど時間がかかるのか|3つの構造的要因
では、具体的にどこがそんなに違うのでしょうか。
① 文法構造の違い(語順)
英語は SVO型 の言語です。
I eat an apple.
(私は/食べる/りんごを)
一方、日本語は SOV型。
私は りんごを 食べる。
この違いは、単なる語順の問題ではありません。
「考えを組み立てる順番」そのものが違うのです。
英語を話すとき、日本人は無意識のうちに
日本語の思考回路を一度壊して、組み直す必要があります。
② 冠詞という概念の不存在
a / the といった冠詞は、日本語には存在しません。
英語圏の子どもたちは、
幼少期から何万回と冠詞を耳にし、無意識に使い分けています。
一方、日本語話者は、
- これは特定?不特定?
- 聞き手はもう知っている?
と、毎回意識的に判断する必要があります。
ちなみに、フランス語やドイツ語にも冠詞があります。
これも、英語とそれらの言語の距離が近い理由の一つです。
③ 音の体系の違い
英語には、日本語に存在しない音が数多くあります。
- L と R の区別
- TH の発音
- 母音の数(日本語は5、英語は10以上)
幼少期にこれらの音に触れていないと、
「聞き分ける」こと自体が難しくなります。
これは努力不足ではなく、
脳の音声処理の仕組みによるものです。
日本人向け学習法が「合理的」な理由
「ネイティブと同じ方法で学ぶのが一番良い」
そう思われがちですが、実はそうとは限りません。
日本人の強みを活かす学習
たとえば、所有格。
Koki’s pen(Kokiのペン)
日本語には「の」という概念があるため、
日本人はこの構造を非常にスムーズに理解できます。
一方、ELT(英語教育)では初期に扱われる冠詞は、
日本人にとっては理解しづらい項目です。
学習順序を日本人向けに調整することで、
無駄なつまずきを減らし、学習効率を高めることができます。
バイリンガル講師だからこそわかる「つまずき」
私自身、英語習得には本当に苦労しました。
高校2年生のとき、
センター試験形式の模試で 200点中40点。
そこから予備校で学び直し、
最終的には 9割以上 得点できるようになり、
数学科受験でありながら、英語の得点率で大学に合格しました。
この経験があるからこそ、
- どこで混乱するのか
- なぜ理解できないのか
が、痛いほどわかります。
ネイティブ講師には「できない感覚」がありません。
でも、バイリンガル講師には、その感覚があります。
子どもの英語学習で本当に大切なこと
完璧を求めすぎない
三単現の s、複数形、冠詞。会話の理解を妨げないミスまで細かく減点してしまうと、
子どもは英語を「怖いもの」だと感じてしまいます。
特に小学生のうちは、
- まず使ってみる
- まず楽しんでみる
この姿勢を何より大切にしたいところです。
長期的な視点を持つ
FSIのデータでは、大人でも約1,320時間。
週1時間の学習なら、単純計算で25年分です。
もちろん、子どもの吸収力は素晴らしいですが、
「数ヶ月でペラペラ」という期待は現実的ではありません。
焦らず、着実に。
それが、遠回りに見えて一番の近道です。
だからこそ、早期から始める意味がある
時間がかかるからこそ、
- 音への感受性
- 英語への心理的ハードル
は、幼少期から少しずつ育てておく価値があります。
二言語環境が日本語力を損なうというエビデンスはなく、
むしろ言語的・認知的柔軟性が育つことが示されています。
ビバイが大切にしていること
子ども英会話家庭教師ビバイでは、
この言語間距離を前提に指導を行っています。
バイリンガル講師による指導
全員が「英語が簡単ではなかった」経験を持つ講師です。
必要な場面では日本語で支えながら、
英語への自信を育てていきます。
一人ひとりのペースを尊重
言語間距離が遠いからこそ、
習得スピードには大きな個人差があります。
家庭教師だからこそ、
- じっくり理解したい子
- どんどん進みたい子
それぞれに最適なペースで進められます。
小さな達成感を積み重ねる
月1回の指導報告書では、
小さな成長も丁寧に言語化します。
「できた」を積み重ねることが、
長い英語学習を支える原動力になります。
最後に
日本人にとって英語は、確かに簡単な言語ではありません。
それは、能力ではなく言語間距離という構造の問題です。
でも、適切な方法で、
お子さんのペースで、
楽しみながら続ければ、必ず身につきます。
英語は目的ではなく、道具です。
失敗を重ねながら、世界とつながる楽しさを感じてほしい。
ビバイは、そんな想いでお子さんの英語学習を支えています。
KOKI
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