大統領と総理大臣の違いは何?

フランス大統領選の決戦投票の結果、マクロン氏が当然確実となりました。

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ビバイのスタッフにもヨーロッパ出身者がおり、今回の結果に安堵していた様子でした。私はフランスの政治に明るくないので、マクロン氏とルペン氏のスタンスの違いが「反EUか否か」くらいのことしかわかりません。7日夜の仏内務省の発表では、投票率98.12%の時点でマクロン氏の得票率が65.5%、ルペン氏が34.5%という発表でした。

選挙だけ見れば、マクロン氏の圧勝ですが、反EUの支持者数が結構な割合いることに驚きました。

さて、今回はフランス政治の話ではなく、今回の選挙に関連させて「大統領」と「首相」の違いについて説明したいと思います。お子様に聞かれたら答えてあげてくださいね(^ ^) 実は、フランスの大統領というのはちょっと特殊だということ、皆さんはご存知でしたか?

■大統領の役割は国によって異なる

一言に「大統領」と言っても、その役割は大きく異なります。一番イメージしやすいアメリカの大統領を考えてみましょう。「アメリカで一番偉い人は誰?」と聞くと、多くの人は「大統領!」と答えることでしょう。現在はドナルド・トランプ氏ですが、国の顔となり、行政のトップでもあるのが大統領なわけです。アメリカ合衆国は、元々は移民が集まってできた国ですから、国の代表となる王様のような人がいませんでした。そこで、大統領という国のリーダーが誕生したわけです。アメリカの大統領は絶対的な権力を持っていますが、他の国々では同じ大統領でも役割が異なります。

例えば、ドイツやイタリアでは、「国の顔」としての大統領はいますが、行政の権限はありません。そこで、行政を行うトップとして「首相」がいるわけです。「ドイツの大統領はだれ?」と聞かれても、多くの日本人が答えられないと思いますが(私も答えられません。どうやら最近新しく選出されたようです。

https://www.nikkei.com/article/DGXLAS0040010_S7A210C1000000

「ドイツの首相はだれ?」と聞かれたら、多くの人は「メルケル首相!」と答えられると思います。このように、政治を行うトップが「首相」であり、国の顔となるのが「大統領」なわけです。アメリカは大統領が国の顔でもあり、行政のトップでもあるわけですね。

■日本に大統領がいないのは

ごく稀にですが、小学生の将来の夢で「日本初の大統領になる!」なんて言う子がいますが、残念ながら日本では大統領にはなれません。君主(つまり国の顔)として天皇がいるからです。日本では、天皇が行政を行うことはありませんから、行政のトップは「首相」となるわけです。ちなみに、内閣総理大臣というのは、日本の首相の役職名であり、内閣総理大臣=首相です。会社の代表のことを「代表取締役」と言いますが、「社長」と呼ばれることもありますね。社長は会社内での役職名であり、会社の中で自由に呼び名を変えることができます。「首相=代表取締役」=「内閣総理大臣=社長」と考えてください。

■フランスの大統領はちょっと特殊

今回、フランスの大統領選がこんなに注目されていたのには理由があります。通常、大統領という国の顔となる人がいても、行政を任されるのは首相であることが一般的です(アメリカは除く)。しかし、フランスでは、大統領にも行政の権限があり、大統領と首相で行政を分担しているのです。フランスの大統領は主に外交を、首相は内政を担当しています。だから、日本やアメリカの外交先の責任者であるフランス大統領の選挙にこれだけ注目が集まっているわけです。

他に、ロシアや韓国も大統領と首相で行政を分担していますが、大統領の権限がとても強いのが特徴的です。当然、韓国の大統領選も今後注目されていくでしょう。